放射線適応応答の基礎知識

免疫機能への働きについて

「放射線適応応答」の免疫疾患への活用の可能性は? 
 ② 「免疫」を調整しガン・アレルギー・自己免疫疾患を改善

免疫機能への働きについて

私たちの体には、外部から侵入する細菌やウイルス、体内で発生する異常な細胞などから身を守る「免疫」の仕組みが備わっています。
この免疫は強すぎても弱すぎてもバランスを崩し、さまざまな不調の要因になると考えられています。

近年の研究では、低線量の放射線刺激が、2025年度医学・生理学ノーベル賞(阪大 坂志文先生)で話題となった免疫細胞ヘルパーT細胞の一つである制御性T細胞(Treg)の誘導を介して、免疫機能のバランス調整に関与することが報告されています。

この免疫細胞には、免疫の働きが低下している場合には活性化、逆に過剰に増加している場合には抑制的に働くなど、体の状態に応じた調整作用が明らかになっています。
こうした免疫のバランスの乱れが、がん、アレルギー、自己免疫疾患などとも深く関係していることが知られており、放射線の適応応答との関連についても基礎研究や臨床研究が進められています。

研究段階であることの理解が重要です

一方で、これらのヒトでの働きについては、まだ解明されていない点も多く、同様の効果が確認されているわけではありません。
また、特定の病気の予防や改善を確証するものではなく、引き続き慎重な検証が必要とされています。
本研究会では、免疫との関係についても、科学的根拠に基づいた研究と情報発信を行い、正しい理解の普及に努めています。